2008年08月19日

心のタマゴ

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「いい加減にしろよ」
 響く声だった。満員電車だというのにこちらに目を向けるものはなかった。
 その人と顔をあわすのは、今日二度目だった。

 一度目。朝の上り方面の電車は、混んでいて、鞄の端があたったようで不快だったようだ。にらみつけられて、
慌てて頭を下げて、離れようと思ったが朝の通勤電車。逃げ場はない。
 仕方なくその人にぶつからないように隣のつり革に手を伸ばした。そうして本を読み始めた。
 不意にその人はこちらを向いた。
 年は同年代か少し上くらいだろうか。髪は五分刈り。体格は何かスポーツをしているのかがっしりしている。
「いい加減にしろ」
「すいません」
 反射的に謝っていた。
 その後、無数の?が自分の頭を駆けめぐった。
 本や鞄がぶつかっていたのか。それともめくる音が不愉快だったのか。心の中で、こいつ心が狭いということでも読まれたのか。
 これ以上不愉快にさせて、殴られてでもしたら大変だ。そう思って無言のまま過ごした。
 駅に到着して外へ出ると安堵の息が漏れていた。
 自分が謝ったのは決して悪いと思ったからではない。もう、どうしようもなく怖かったからだ。
 結局は、大人になった振りをしても、本質は子供の頃のまま臆病で、軽い暴力できっと折れてしまうのだろう。
posted by 管理人 at 20:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | ネガバナシ| edit
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