2007年03月19日

1、暁 【あかつき】

HOME100のお題 ⇒ この記事です

 暁は、夏でも冬でも、どこか始まりを思わせて、浮き足だってしまう。
 それは朝という始まりの時間。
 狩の始まりの時間であったし、一日の準備を始める時でもあった。
 その記憶が残っているのか、朝はどうしたって体が起きろと起きろと騒いでいる。
 でも冬の朝ということもあって、そのままベットの中に転がっていたかった。自分と眞のぬくもりが作り出した至福の空間を抜けて寒気渦巻く外に出て行くのは少しばかり遠慮したい。
「やっぱり二度寝しようかな」
 わたしがそういうと横で眞の広い背中が少し動いた。
 どんな生活を今まで送ってきたかしらないけど、眞の背中には何かで切りつけられた長い傷跡や、抉れた跡が残っている。過剰に厚くもないが、皮膚の下に猫のようにしなやかな肉がついているのを私は知っている。それをしらなくてもきれいな曲線を描く背中は素直に美しいと初めて会った時から思っていた。
 暫く背中を見ていると、不機嫌そうな声があがった。
「どっちにするのか決めてくれ」
「起きる」
「わかった。朝飯できたら起こす」
 眞の言葉に答える余裕はなかった。
 ベットから出て抜けていくぬくもりを逃さないように布団にしがみ付くのに夢中だったからだ。

 

 
posted by 管理人 at 19:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 100のお題| edit
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/36368346
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。