2007年03月26日

6、庭 【にわ】

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sakura.JPG

 庭にはピンク色の雲が下りたみたいだった。
 まだ他の桜は満開でないのに、この庭の桜は咲いている。
「寒」
 突然の風に非難をあげる。同時に桜の花びらがどっと散って、花の雨のようだ。枝がはらはらと風に揺れて、風が桜をいじめているようにも見えた。
「せっかく咲いているのになあ」
 励ますように木の幹に触れた。樹皮にはいろいろあるけれど、サクラの樹皮は柔らかくて手になじむような気がする。
「だいじょうぶだ。この桜はコヒガンサクラだから。もともと、信州の辺りのサクラなんだ」
「寒いのには強いんだ」
「そうだ」
「でもおかしいよ。長野って四月の中ごろにサクラが咲くじゃない。その頃は、きっとこっちよりも暖かいんだよ。花が咲いている時に風が吹くのはやっぱりもったいない」
「サクラにその気があるかはわからないけどな」
「その気がないと咲かないと思うよ」
「どうしてだ?」
「だって、たぶんなんでもそうだと思うんだけどその気がなきゃなにもおこらないんだよ」
 眞は小さく笑った。
「ああおかしいとおもってるでしょう」
「いや、そうじゃなくて、そうだなって思ってるんだ。その気が大切だよな」
posted by 管理人 at 20:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 100のお題| edit
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