2007年04月06日

12、曇 【くもり】 字書きさんに100のお題より

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 方庭には誰の姿もなかった。
 日は出る時間だが空は曇っていて薄暗いし、風も出ている。こんな日に出こないのは当たり前だ。今でこそ外家の拳を取り入れ派手な動きも多く含まれているが、もともと竜門は内家拳を伝える幇だ。風の中で、勁を練るのは、害が大きい。
 だが、ただ体を動かすためならこのくらいの暗さの方がいい。
 もともと日がでていれば黒白の方形の石が敷き詰められた庭は、目が痛くなり、遠近感を掴みにくくなる。その庭で修行する事で竜門の拳士は、視覚に頼らない自らの圏を鍛え上げる。
 それはわかっているから目を閉じずに体を動かし始めた。
 まず架式をとる。竜門の架式。基本の姿勢は、少しばかり腰を捻って、腕を交差する。その体から套路を始める。ゆっくりとした動きだがしているうちに体が熱くなってくる。
 三十分ほど体を動かしたろうか。
 体は熱くなり、全身から湯気が出ている。それでも、頭はすっきりしておらずにいらつきがあった。
「眞師兄、拳が乱れていますね」
 声のほうを向くと桜師妹が立っていた。
「そうか」
 自分ではいつもとまったく変わらないと思っているが、そうなのだろう。
「どう見える」
「さあ。でも切れがないのは明らかですよ。今なら私でも先手がとれそうです」
「交えてみるか」
 自分でわからないのなら他人に教えてもらうのもいいかもしれない。
 
 
posted by 管理人 at 20:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 100のお題| edit
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