2007年09月26日

海深く翼12

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「またせたかな」
 橘花に声をかけられ六星は息を吐いた。そうすると体の中にあった堅いものが溶けていくようだ。ずっと緊張していたのか体のあちこちが痛い。
「中の様子観たくない?」
 六星はうなずいて、それから橘花を見つめた。
「定点カメラをいくつか操作できるようにした。ここでは無理やけどな」
 黙ってこうして見ているよりは、橘花の言う場所の方がいいように思えた。
「こっち」
 そこに止まっているのは白塗りのワゴンだった。
「後ろな」
 中には多くのディスプレイとキーボードとマウスがついているから。パソコンと思われる棺のような箱が見えた。
 棺の前のソファには寧が眠っていた。
「適当にすわっといて」
 橘花は手頃なコードを抜くと、自分の首筋に近づける。髪に隠れて見えないが、橘花の頭にもケーブルがあるようだ。
「じゃあいくよ」
 ディスプレイの中でピラミッドの映像が現れる。
 公園だった。さっきいた芝生の上には誰かを待つように、シートが広げられ、飲み物や食べ物だったものが散乱している。
「雹さんが戦っていたところ」
 雹の姿はなかった。
 何か砂のようなものが芝生の上に転がっている。
「あれは」
「多分なれの果て。雹くんは敵と決めれば、加減せんからね」
「天使も死ぬんだ」
「六星くん君勘違いしてるな。あれは天使やないで」
「だって天使って」
「あだ名みたいなもんや。本当の天使はあんないやないと思う」
「そうだよね」
 六星はうなずいた。父がさっき答えなかった事がすっきりした。そうだ。天使がそんな存在であるはずなのいのだから。
 携帯が鳴った。
「六星か」
 その声は小さく掠れていた。
「今どこだ?」
「クルマの中」
「じゃあ師娘、あのさっき迎えに来た人いるか」
「お父さん」
 橘花に向かい六星は携帯を差し出した。
「どこにいんの」
 橘花が何か操作したのか画面が切り替わった。だが、そこは闇が包んでいる。
「カメラがアホになっとる」
 「そうか。雹を探せるか?」
 廊下。
 研究室。
 食堂。
 ロビー。
 発電所。
画面が二転三転するが雹の姿はない。
「見あたらない」
「やられているわけないよ。雹さんはすごい強いんだよ」
「知ってる。きっと機械もだますような隠れ方しとるんやろ」
「やはり無理か」
 四郎の声は遠い。モニターは再び父がどこかに隠れる闇を見せている。
「どうして探してんの」
「親玉らしいのがいる」
「一人だと厳しい?」
「二人なら何とかいけると思うんだが」
 六星は息を飲んだ。
「気付かれた」
 電話が切れた。
 モニターに光が走った。
 それは天使が見せていた。全身から放射される燐光は闇を照らしだしている。その数は一体ではなかった。同じように燐光を放つ存在が数体姿を見せている。
 その一体の天使が不意に吹き飛ばされた。四郎が画面の中で姿を見せている。
 六星は外に飛び出したs。
自分でももしかしたら役立ちかもしれないと思いながら。
posted by 管理人 at 19:07 | Comment(1) | TrackBack(0) | 海深く翼| edit
この記事へのコメント
雹ってそんな強かったのですね。
なんかお話書きたくなってきたかも・・・。
Posted by at 2007年09月28日 01:07
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